家でパンを作ろうとするときにまず引っかかるのが材料選びではないでしょうか。
なんだかいろんなものがあって難しいし、どれを選んでいいのか結局分からないし、どの材料がどんな働きをするのかも分からないし…
今回は「今からパン作りを始めたい!」という人向けに、絶対必要な強力粉、イースト、塩、砂糖について、役割や選び方について詳しく解説します。
「やってみたいけど私にはハードルが…」
と二の足を踏んでいる人は、これを読むだけで一気にレベルアップできますよ。
おうちパンに絶対必要な材料3つ
一般的な方法でパンを作るのに最低限必要なのは
- 強力粉
- イースト菌
- 塩
- 砂糖
の4つです。
一つずつ詳しく解説します。
強力粉
強力粉は薄力粉に比べてグルテンという粘り気の素になる成分が強いためパン作りに向いています。
強力粉にもいろんな種類がありますが、大きく外国産と国内産に分けられます。
素材の特徴 | デメリット | |
---|---|---|
国産強力粉 | ・グルテン量が少なくもっちり ・風味が豊かで素材の甘味がある | ・コストがかかる ・手ごねが少々難しい |
外国産強力粉 | ・グルテン量が多くこねやすくふわふわ ・あっさり癖のない味になる | ・ポストハーベストが含まれる |
ざっとこんな特徴がありますが、粉の品種によっても特徴が異なります。
品種に関しては富澤商店の店頭にも貼ってある分布図が分かりやすいです。
自分のお好みの食感から粉を選ぶと、お好みの生地に焼きあがりますよ。
粉を変えるだけでおいしくなるなんて簡単ね。
うちは普段スーパーで買うけど、たまに贅沢して「ゆきちから」使うねん。
表に載っている小麦粉は富澤商店で購入可能です。
イースト菌
イースト菌はパンを膨らませるための菌の一種です。
発酵によりパンを膨らませるものには以下のようなものがあります。
名称 | メリット | デメリット |
---|---|---|
インスタントドライイースト | ・扱いやすい ・入手しやすい ・賞味期限が長い ・毎回安定して膨らむ | ・特有の匂いがする |
生イースト | ・癖がない ・きめ細かい生地になる | ・販売店が少ない ・賞味期限が短い |
天然酵母 | ・原料の風味が豊か ・酵母の味がする ・製パン後乾燥しにくい | ・失敗するリスクが高い ・手間・時間がかかる |
ということで、初心者さんにはインスタントドライイーストがおすすめなのですが、中でも一番有名な「サフ」についてもう少し詳しく解説します。
ラベルの色で使い分けたら上級者!
【青サフ】
赤サフと同じ用途ですが、赤サフからビタミンCを抜いたのが青サフです。
生地の発酵が安定しないため中級者向きではありますが、生地が引き締まると言われていてファンも多いです。
Amazon商品ページで詳しく見る
緑サフもありますが、ピザ用のイーストなので今回は省略します。
イーストって体に悪いって聞いたんだけど…
それ多分イーストフードのことちゃう?
名前似てるけど別モンな。
市販のパンによく使われている「イーストフード」とは、イーストを時短で膨らませるための添加物です。
一方イーストはその形状から添加物と勘違いされがちですが、パン作りに適した酵母菌を凝縮して作られているため人体に害はありません。
おうちでパンを作るのにイーストフードは不要で、お砂糖がイースト菌の餌となりパンが膨らみます。
砂糖について詳しくはこの後解説します。
塩
塩はパンをきれいに発酵させるために必要で、以下のような効果があります。
- 生地がダレにくくなり、上に向かってピンと発酵する
- 発酵抑制効果があるため、過発酵を予防できる
発酵抑制効果があるため、生地をこねるときは塩とイーストが直接混ざらないようにしたり、ホームベーカリーだと塩がなじんだ頃にイーストケースから落ちる仕組みになっています。
塩にもいろんな種類がありますが、大きく分けると天然塩と精製塩の2種類があります。
天然塩 | ・ミネラルが豊富に含まれていて栄養価が高い ・複雑で深い味がする |
精製塩 | ・成分がほぼ塩化ナトリウムで生成されている ・単純に塩辛い味がする |
高い塩って高い理由があるのね。
普通の食塩と比べると高い天然塩はすんごいおいしい!
これは投資する価値あり!
パンにおすすめの天然塩はゲランドの塩です。
砂糖
砂糖はイーストが膨らむために絶対必要な材料です。
パン生地の5%~10%を配合します。
- イーストが発酵する
- 保水性があり、パンが柔らかく焼きあがる
- 焼き色が付く(メイラード効果)
砂糖にもたくさん種類がありますが、大きく精製糖と含蜜糖に分類されます。
例 | 特徴 | |
---|---|---|
含蜜糖 | ・てん菜糖 ・黒糖 ・きび砂糖 ・はちみつ | ・ミネラルやビタミンなどを含む ・それぞれ味などの個性が強め ・精製糖に比べるとコストがかかる |
精製糖 | ・上白糖 ・三温糖 ・グラニュー糖 | ・癖がなく小麦の味を強調できる ・安価で流通量が多い ・血糖値が上昇しやすい(太りやすい) |
ということで結論としては、
です。
ちなみに私は保水性が高いと言われているはちみつを使っています。
おうちパンにプラスするならこの材料
材料は基本的な物だけでも作れますが、使うとよりおいしくなるプラスの材料についても解説します。
モルトパウダー
モルトパウダーは麦芽糖の一種で、お砂糖の代わりに使います。
砂糖はパンを柔らかくしっとり焼き上げる効果があるため、フランスパンなどのハード系のパンには不向きの材料です。
ですが入れないとイーストが発酵しにくくなるため、砂糖の代わりに入れるのがモルトパウダーです。
美味しい小麦粉を使って、噛み応えのあるパンを作りたい人にはモルトパウダーが必須です。
全粒粉
全粒粉とは、表皮や胚芽を取り除かずに粉末にした小麦粉のことです。
強力粉の25%~50%程度を全粒粉に置き換えるレシピが一般的です。
【全粒粉のメリット】
・食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養価が高い
・血糖値の急上昇が抑えられる(太りにくい)
・小麦粉の味がしっかりする
全粒粉はメリットが多く、おうちでパン作りをするならぜひおすすめしたいです。
もちろんデメリットもあります。
【全粒粉のデメリット】
・見た目が茶色に焼きあがる
・粉の状態で保存できる期間が短い
・グルテンの形成が普通の強力粉に比べて難しい
・コストが上がる
デメリットを補うには、レシピ通りにしっかり図って、慣れるまでは少量ずつ配合するのがおすすめです。
全粒粉にも品種があるため、せっかくならお気に入りのものを選んでくださいね。
バター
バターは入れなくてもパン生地として成立しますが、入れることでふんわり柔らかいパンに仕上がります。
- 普通の食パンなら1斤当たり5g程度
- ふわふわに仕上げたいなら1斤当たり10g~20g程度
- ブリオッシュなどリッチに仕上げるなら1斤当たり100g前後
と配合する量で生地の印象がずいぶん違います。
お好みのパン生地に仕上げるには、バターが大きなカギを握っていると言えます。
油分はバターでないといけない理由
油ならオリーブオイルやマーガリンの方が安いのに…
と昔はバターを使っていませんでしたが、おいしいパンに仕上げるなら配合におすすめなのはバター一択です。
まずオリーブオイルに代表される植物性の油ですが、水分と混ざるのが苦手なためパン生地にはあまり適していません。
私もピザ生地の時にしか使わんな。
一方バターなら乳化してしっかり生地に入り込んでくれるため、一体感のある生地に仕上がります。
同じようなものにマーガリンが挙げられますが、トランス脂肪酸が含まれていてあまり体にいい食材とは言えません。
食いしん坊の蟻んこでさえ食べへんらしいよ。
バターと同じく乳化はしますが、せっかく添加物を入れないパンを作るならマーガリンではなくバターがおすすめです。
バターの代用なら生クリームがおすすめ
バターが品薄でどうしても手に入らない時におすすめしたい代用品が「生クリーム」です。
植物性のホイップではなく乳脂肪分が含まれた動物性油脂の生クリームなら、バターの代わりとしてパンと相性がバツグンです。
今はやりの高級食パンは大体生クリーム入ってるねん。
おうちで焼きたての高級食パンが焼けるのは画期的♡
使用する際には水分としてカウントするため、水や牛乳と置き換えて入れましょう。
例≫ 水170㏄のレシピなら、生クリーム50㏄+水120㏄、など
代用品、というよりもバターと一緒に生クリーム入れるの好き。
私のおうちパンレシピ
ということで私がおすすめしたいふわふわのコッペパンレシピを。
【材料】
・強力粉(ゆきちから)…250g
・ゲランドの塩…4g
・はちみつ…20g
・バター…20g
・たまご…1個
・牛乳…卵とあわせて170g ※50度くらいに温めておく
・生イースト…13g
※生イースト以外の材料をセットし、10分ほどこねてから生イーストを投入する。
ホームベーカリーで生地コースで1次発酵まで自動で捏ね上げ、8等分に丸めてベンチタイム、成形して2次発酵、220度で5分+180度で7分焼成する。
おうちパンを作る人は手ごね派の人が多いのですが、私は生地をホームベーカリーにお任せして2次発酵からパン作りを楽しんでいます。
失敗が少なく、時間的にも負担が少ないので習慣化しやすい方法です。
材料にこだわらんかったら、市販のパン買うのとトントンのコストで作れるねん。
コストを真剣に比べたんがこちらの記事です。
ちなみに私がおすすめしたい機種はパナソニックホームベーカリーSD-MT3です。
最後に~おうちパンは無添加で自分好みに作れる!
パン作りに必要最低限の材料は
- 強力粉
- イーストや酵母
- 塩
- 砂糖
の4つです。
強力粉は精製された白いものなら初心者向きで癖のない仕上がり、表皮や胚芽ごと粉末にした全粒粉なら栄養価が高くてふとりにくいパンに仕上がります。
イーストや酵母はいろんな種類がある中で、初心者向けなのはインスタントドライイーストがおすすめで、中でも人気が高く一般的なのが赤サフです。
塩はパン向きならゲランドの塩、砂糖ならてん菜糖がおすすめです。
砂糖をたくさん使いたくないレシピならモルトパウダーで砂糖の代用がでます。
バターを1斤当たり20g程度入れるとふわふわに仕上がります。
パンは人それぞれで好みが違って、使う材料や配合比率によって焼き上がりの印象が全然違います。
奥が深いのでぜひいろんなパンを何度も焼いて、自分好みのレシピを作ってみてくださいね。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] パンの材料についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 […]
[…] 「少しコストアップしてもいいから体にいいものを!」という人は、こちらの記事で材料について深堀していますのでご参考にどうぞ。 […]